「障害者でもNISA口座を開設できるの?」
「障害者手帳を持っていると、NISAは利用できない?」
「障害年金を受給していてもNISAを始められる?」
このような疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、障害があること自体は、NISA口座を開設できない理由にはなりません。
身体障害、精神障害、知的障害など、障害の種類によってNISAの口座開設が一律に制限される制度ではありません。
また、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳、療育手帳を持っていること自体も、NISA口座開設の要件ではありません。
ただし、成年後見制度を利用している場合や、手続きの際に配慮が必要な場合は、通常とは異なる確認が必要になることがあります。
この記事では、金融庁や内閣府、法務省などの公的情報をもとに、障害者とNISAの関係をできるだけ分かりやすく解説します。
この記事のポイント
- 障害の有無はNISA口座開設の制度上の要件ではない
- 障害者手帳を持っていてもNISA口座を開設できる
- 精神障害・知的障害・身体障害によってNISAの制度上の扱いが変わるわけではない
- 2024年4月から民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化されている
- 成年後見制度を利用している場合は、後見・保佐・補助などの権限や金融機関の取扱いを確認する必要がある
- 障害年金とNISAは別の制度なので、それぞれの制度を分けて考えることが大切
※NISAの制度や金融機関の取扱いは変更される場合があります。最新情報は金融庁および利用する金融機関の公式サイトをご確認ください。
障害者でもNISA口座は開設できる?結論

障害者でもNISA口座は開設できます。
NISAは、障害の有無によって利用できる・できないが決まる制度ではありません。
NISA口座の開設では、年齢や居住地などの制度上の要件を満たしたうえで、利用する金融機関で所定の口座開設手続きを行います。
つまり、
- 身体障害がある
- 精神障害がある
- 知的障害がある
- 障害者手帳を持っている
- 障害年金を受給している
ということだけを理由に、NISA口座を開設できないという制度ではありません。
ただし、成年後見制度を利用している場合などは、本人の判断能力や代理・同意の権限、金融機関の取扱いなどを個別に確認する必要があります。
NISA口座を開設するための制度上の要件
金融庁によると、NISAは一定の要件を満たす人が利用できる制度です。
主なポイントは次のとおりです。
日本国内に住所を有すること
NISAは、日本国内に住所を有する人が利用する制度です。
海外に住んでいる場合などは、NISAの取扱いが異なるため注意が必要です。
口座開設する年の1月1日時点で18歳以上であること
NISAは、口座を開設する年の1月1日時点で18歳以上の人が対象です。
したがって、障害の有無ではなく、年齢などの制度上の要件を確認することになります。
1人1口座が原則
NISA口座は、1人につき1口座が原則です。
複数の金融機関で同時にNISA口座を持つことはできません。
ただし、一定の手続きを行えば、NISA口座を開設する金融機関を変更することは可能です。
ポイント
NISAの制度上の要件に「障害者ではないこと」という条件はありません。
詳しい制度については、金融庁の「NISAを知る」で確認できます。
障害者手帳があってもNISA口座は開設できる?

障害者手帳を持っていること自体は、NISA口座の開設を妨げる要件ではありません。
対象となる障害者手帳には、一般的に次のようなものがあります。
- 身体障害者手帳
- 精神障害者保健福祉手帳
- 療育手帳
これらの手帳を持っているからといって、NISA口座を開設できないという制度にはなっていません。
また、NISAの制度上、障害者手帳を持っていることを理由に特別なNISA口座を作る仕組みでもありません。
障害者手帳を証券会社に提出する必要はある?
NISAの制度上、障害者手帳そのものが口座開設の要件とされているわけではありません。
ただし、実際の口座開設では金融機関ごとに本人確認書類などの必要書類が定められています。
そのため、具体的な必要書類については、利用する証券会社や銀行などの公式案内を確認しましょう。
身体障害・精神障害・知的障害でNISAの扱いは変わる?
結論として、障害の種類によってNISAの制度上の扱いが変わるわけではありません。
身体障害がある場合
身体障害があること自体は、NISA口座開設の制限にはなりません。
一方、手続きの際に、
- 書類への記入が難しい
- 店舗での説明を聞き取りにくい
- パソコンやスマートフォンでの入力が難しい
などの事情がある場合は、金融機関に相談できる場合があります。
精神障害がある場合
精神障害があること自体を理由として、NISA口座を開設できないという制度ではありません。
例えば、
- 金融商品の説明を理解するのに時間が必要
- 一度に多くの説明を受けることが負担
- 手続きを進める際に確認を繰り返したい
などの事情がある場合は、金融機関に相談してみることができます。
知的障害がある場合
知的障害があること自体も、NISA口座開設の制度上の制限にはなりません。
金融商品の説明や手続きについて、
- 専門用語が分かりにくい
- 書類の内容を理解するのに時間がかかる
- 手続きの流れが複雑に感じる
といった場合には、本人が理解しやすい方法での説明について金融機関に相談することが考えられます。
障害がある人は金融機関に合理的配慮を求められる?
ここは、NISAそのものとは別に重要なポイントです。
2024年4月1日から、改正障害者差別解消法により、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化されました。
金融機関も民間事業者に含まれるため、障害のある人がサービスを利用する際には、状況に応じた合理的配慮が求められることがあります。
合理的配慮とは?
合理的配慮とは、障害のある人から意思の表明があった場合に、事業者側に過重な負担とならない範囲で、個々の状況に応じて必要な対応を行うという考え方です。
重要なのは、すべての人に同じ対応をするのではなく、本人の障害特性や希望などを踏まえて対応することです。
合理的配慮の例

状況によっては、例えば次のような配慮が考えられます。
- 筆談による説明
- 説明方法の工夫
- 分かりやすい言葉での説明
- 図などを使った説明
- 手続きに必要な情報を整理して伝える
- 本人が理解するための時間を確保する
ただし、どのような配慮が実際に行われるかは、本人の障害特性や希望、金融機関の状況などによって異なります。
合理的配慮があるからといって、NISAの制度上の要件そのものがなくなるわけではありません。
詳しくは内閣府の「障害者差別解消法」関連情報をご確認ください。
家族や支援者がNISAの手続きを手伝うことはできる?
ここは注意したいポイントです。
家族や支援者が手続きに同席することと、本人に代わって契約することは別です。
例えば、本人が金融機関の説明を受ける際に家族や支援者が同席することについては、金融機関に相談できる場合があります。
一方、
「家族だから本人の代わりにNISA口座を開設できる」
とは限りません。
本人に代わって手続きを行えるかどうかは、
- 委任の有無
- 本人の判断能力
- 成年後見制度の利用状況
- 金融機関のルール
などによって異なります。
成年後見制度を利用している場合、NISAはどうなる?
成年後見制度を利用している場合は、通常のNISA口座開設とは分けて考える必要があります。
成年後見制度には、
- 後見
- 保佐
- 補助
の3つの類型があり、それぞれ権限が異なります。
そのため、
「成年後見制度を利用している人はNISAを開設できる」
または
「成年後見制度を利用している人はNISAを利用できない」
と一律に判断することはできません。
後見・保佐・補助では権限が異なる
成年後見制度では、本人の判断能力などに応じて、後見・保佐・補助の制度が利用されます。
それぞれ、
- どこまで代理できるのか
- どのような行為に同意が必要なのか
- 本人が自分で行える行為は何か
などが異なります。
そのため、NISA口座の開設や金融商品の取引についても、個々の権限内容を確認する必要があります。
成年後見制度を利用している場合の注意点
成年後見制度を利用していることだけを理由に、すべての投資が一律に禁止されると考えるのは適切ではありません。
ただし、成年後見人などが本人の財産を管理・運用する場合には、本人の利益や財産管理上の必要性などを慎重に検討する必要があります。
また、金融機関によって取扱いが異なる場合もあります。
したがって、
成年後見制度を利用している人がNISAを利用できるかどうかについては、家庭裁判所で定められた権限や本人の状況、利用する金融機関の取扱いなどを個別に確認することが重要です。
成年後見制度の詳しい内容については、法務省の公式情報をご確認ください。
障害年金を受給していてもNISAは利用できる?
障害年金を受給していること自体は、NISA口座を開設できない理由にはなりません。
障害年金の受給資格とNISAの口座開設要件は、それぞれ別の制度です。
そのため、
「障害年金を受給しているからNISAができない」
という単純な関係ではありません。
ただし、障害年金以外の給付制度や福祉制度では、所得や資産などが制度の判定に関係する場合があります。
そのため、NISAを利用することで現在利用している制度に影響があるのではないかと心配な場合は、利用している制度の窓口に個別に確認することをおすすめします。
また、NISAの税制については国税庁、障害年金の制度については厚生労働省の公式情報を確認しましょう。
障害者がNISAを始めるときに確認したい5つのポイント
障害のある人がNISA口座を開設するときは、次の5点を確認すると分かりやすいでしょう。

① 障害そのものはNISAの制限になる?
なりません。
障害の種類そのものは、NISA口座開設の制度上の要件ではありません。
② 障害者手帳はNISA開設の条件?
障害者手帳を持っていることは、NISA口座開設の要件ではありません。
ただし、実際の口座開設に必要な本人確認書類などは金融機関の案内を確認しましょう。
③ 手続きが難しい場合は?
金融機関に相談しましょう。
障害の特性や本人の希望などに応じて、合理的配慮について相談できる場合があります。
④ 家族に代わりに手続きをしてもらえる?
家族だから自由に代理できるわけではありません。
同席して説明を受けることと、本人に代わって契約することは別です。
⑤ 成年後見制度を利用している場合は?
後見・保佐・補助などによって権限が異なるため、個別確認が必要です。
金融機関にも事前に確認すると安心です。
障害者とNISAに関するよくある質問
Q.精神障害者保健福祉手帳を持っていてもNISAはできますか?
はい。
精神障害者保健福祉手帳を持っていること自体は、NISA口座開設の制限にはなりません。
NISAの制度上の要件を満たし、金融機関所定の手続きを行う必要があります。
Q.知的障害があってもNISA口座を開設できますか?
知的障害があること自体を理由として、NISA口座の開設が禁止されているわけではありません。
ただし、本人の判断能力や成年後見制度の利用状況などによっては、通常とは異なる確認が必要になる場合があります。
Q.障害者手帳を持っていることを証券会社に伝える必要がありますか?
NISA制度上、障害者手帳を持っていること自体は口座開設要件ではありません。
ただし、個別の手続きや配慮について相談したい場合は、金融機関に状況を伝えることで必要な対応について相談できる場合があります。
Q.家族が本人の代わりにNISA口座を作れますか?
家族だからという理由だけで、本人に代わって自由にNISA口座を開設できるわけではありません。
委任や成年後見制度などの状況、金融機関のルールによって扱いが異なるため、事前に金融機関へ確認しましょう。
Q.成年後見制度を利用しているとNISAはできませんか?
成年後見制度を利用していることだけを理由に、すべての投資が一律に禁止されると考えるのは適切ではありません。
一方、後見・保佐・補助では権限が異なるため、NISA口座の開設や金融商品の取引については個別の確認が必要です。
Q.障害年金をもらっていてもNISAはできますか?
障害年金の受給資格とNISAの口座開設要件は別の制度です。
そのため、障害年金を受給していること自体がNISA口座開設の制限になるわけではありません。
ただし、利用している他の給付制度などへの影響が心配な場合は、それぞれの制度の窓口に確認しましょう。
まとめ:障害があることだけを理由にNISAをあきらめる必要はない
障害者でも、NISA口座を開設することはできます。
NISAの制度上、障害の種類や障害者手帳の有無によって一律に口座開設を制限する仕組みにはなっていません。
この記事のポイントをまとめると、次のとおりです。
- 障害の有無はNISA口座開設の制度上の制限ではない
- 身体障害・精神障害・知的障害によってNISAの制度上の扱いが変わるわけではない
- 障害者手帳を持っていること自体もNISA口座開設の要件ではない
- 手続きに困った場合は、金融機関に合理的配慮について相談できる
- 2024年4月から民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化されている
- 家族の同席と本人に代わる代理手続きは別に考える必要がある
- 成年後見制度では後見・保佐・補助によって権限が異なる
- 成年後見制度を利用している場合は、金融機関への個別確認が重要
- 障害年金とNISAは別の制度として考える必要がある
大切なのは、「障害があるからNISAは利用できない」と決めつけないことです。
一方で、成年後見制度を利用している場合などは個別の確認が必要です。
NISAを利用する場合は、金融庁の公式情報を確認したうえで、実際に口座を開設する金融機関の最新の案内も確認しましょう。
参考にした主な公的情報
- 金融庁「NISAを知る」
- 金融庁「NISAを利用する皆さまへ」
- 内閣府「改正障害者差別解消法が施行されました」
- 内閣府「障害者白書」
- 内閣府「障害者差別解消法 基本方針」
- 厚生労働省「障害者差別解消法に関する資料」
- 法務省「成年後見制度」
- 厚生労働省「障害年金」
- 国税庁「NISA・税制」
免責事項
本記事は、NISA制度や障害のある人の手続きに関する一般的な情報を紹介するもので、個別の法律・税務・投資判断を助言するものではありません。NISAの制度や金融機関の取扱いは変更される場合があります。成年後見制度や各種福祉制度への影響については、個別の事情によって異なるため、金融機関、年金事務所、市区町村の担当窓口などにご確認ください。












