- 「障害のある子どもが成人したら、親が財産を管理できるの?」
- 「親が高齢になった後、子どものお金や契約は誰が管理するの?」
障害のある子どもを育てている親にとって、「親亡き後」の財産管理は大きな不安の一つです。
特に、子どもが成人すると、親だからという理由だけで本人名義の預貯金を自由に管理したり、本人に代わって契約したりすることはできません。
そこで選択肢の一つになるのが、成年後見制度です。
成年後見制度を利用すると、家庭裁判所が選任した成年後見人等が、本人の財産管理や契約などを法律面から支援します。
ただし、成年後見制度は「親が子どものお金を管理するための制度」と単純に考えると、実際の仕組みとの間にズレが生じます。
この記事では、障害のある子どもの親を対象に、
- 成年後見制度とは何か
- 申立てには何が必要なのか
- 家庭裁判所への申立て手順
- 必要書類
- 費用
- 任意後見制度との違い
- 障害福祉サービスとの組み合わせ
- 東京・大阪・横浜・仙台の申立先と地域差
- 親が元気なうちに準備しておきたいこと
- 2026年の成年後見制度改正
について、できるだけ分かりやすく解説します。
この記事は2026年8月時点の情報をもとに、現行の成年後見制度について解説しています。
成年後見制度は2026年に改正法が公布されていますが、改正部分はまだ施行前です。実際に申立てをする場合は、最新の家庭裁判所・法務省・自治体の案内を必ず確認してください。
まず確認!東京・大阪・横浜・仙台で何が違う?
成年後見制度そのものは全国共通の法律に基づく制度ですが、申立先の家庭裁判所、郵便切手、受付方法、相談窓口などは地域によって異なります。
今回紹介する4地域を比較すると、次のようになります。
東京
東京家庭裁判所本庁と立川支部に分かれる
- 23区・島しょ部 → 東京家庭裁判所本庁
- 多摩地域の一部 → 東京家庭裁判所立川支部
- 後見開始の郵便切手:4,000円
- 保佐・補助開始:5,000円
- 相談窓口は区市町村ごとに異なる
大阪
大阪家庭裁判所本庁・堺支部・岸和田支部に分かれる
- 後見開始の郵便切手:4,500円
- 保佐・補助開始:5,500円
- 大阪市では大阪市成年後見支援センターなどが相談窓口
- 親族後見人を支援する「総合支援型後見監督人」の運用が特徴
横浜
横浜市内は原則として横浜家庭裁判所本庁
- 後見開始の郵便切手:4,000円
- 保佐・補助開始:5,000円
- 本庁では面接予約をして申立てる運用が案内されている
- よこはま成年後見推進センターなどが相談窓口
仙台
仙台家庭裁判所本庁と各支部で管轄が分かれる
- 後見開始の郵便切手:4,980円
- 保佐・補助開始:6,480円
- 手続案内の受付時間が定められている
- 仙台市成年後見総合センターなどに相談できる
成年後見制度とは?
成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などによって、契約や財産管理などを自分で行うことが難しい人を法律的に支援する制度です。
法務省は、成年後見制度について、本人の判断能力が十分でない場合に、本人の権利や利益を守るため、成年後見人等が本人を支援する制度と説明しています。

障害のある子どもの場合、例えば次のような場面で成年後見制度が関係する可能性があります。
- 本人名義の預貯金を管理する
- 福祉サービスの契約をする
- グループホームなどの入居契約をする
- 年金などの収入を管理する
- 医療費や施設利用料を支払う
- 不動産を管理する
- 相続手続きをする
- 本人に不利益な契約への対応をする
ただし、成年後見人は「親の代わりに生活全般を面倒を見る人」ではありません。
財産管理や契約などの法律面と、実際の生活支援は分けて考えることが重要です。
障害のある子どもは成年後見制度を利用できる?
利用できる可能性があります。
成年後見制度は、障害の種類や障害者手帳の等級だけで利用の可否が決まる制度ではありません。
重要なのは、本人が契約や財産管理などを行うために、どの程度の支援を必要としているかです。
法定後見制度には、
- 後見
- 保佐
- 補助
の3つがあります。
一般的には、本人の判断能力の程度に応じて利用する制度が異なります。

| 制度 | 判断能力の目安 |
|---|---|
| 後見 | 判断能力が欠けているのが通常の状態 |
| 保佐 | 判断能力が著しく不十分 |
| 補助 | 判断能力が不十分 |
ただし、最終的にどの類型が適切なのかを判断するのは家庭裁判所です。
「療育手帳があるから後見」「障害者手帳があるから補助」と一律に決まるわけではありません。
成年後見制度を利用する手順
ここからは、実際に成年後見制度を申し立てる場合の流れを紹介します。
まず「本当に成年後見が必要なのか」を整理する
いきなり家庭裁判所に申し立てるのではなく、まず現在の困りごとを整理しましょう。
例えば、
- 本人名義の預金を管理できない
- 本人が契約内容を理解することが難しい
- 福祉サービスの契約が必要
- 施設入所の契約が必要
- 相続手続きが発生した
- 不動産を管理する必要がある
- 親が高齢になり財産管理を続けることが難しくなってきた
などです。
一方で、
「買い物を手伝ってほしい」
「病院に付き添ってほしい」
「生活について相談したい」
といった問題は、成年後見制度だけで解決するものではありません。
相談支援機関に相談する
障害のある本人の場合、成年後見制度だけを検討するのではなく、まず障害福祉の相談支援機関に相談する方法があります。
例えば、
- 市区町村の障害福祉担当窓口
- 基幹相談支援センター
- 指定特定相談支援事業者
- 障害者相談支援事業所
- 社会福祉協議会
- 成年後見制度の中核機関
などです。
相談支援専門員に、
「親が高齢になった後の本人の財産管理について心配している」
と伝えてみるのもよいでしょう。
成年後見制度が必要なのか、別の支援制度を組み合わせられるのかを整理するきっかけになります。
本人の生活状況を整理する
成年後見の申立てでは、本人の財産だけではなく、本人がどのような生活をしているのかも重要になります。
例えば、
- 現在どこで暮らしているか
- 日常生活でどこまで自分でできるか
- 金銭管理はできるか
- 契約内容を理解できるか
- 自分の意思をどのように伝えているか
- 福祉サービスを利用しているか
- 将来どのような生活を希望しているか
などを整理します。
「本人情報シート」とは?
成年後見の申立てでは、本人情報シートが重要な資料になる場合があります。
本人情報シートは、本人の日常生活や社会生活の状況について、普段から本人を支援している福祉関係者などが記載する資料です。


例えば、
- 相談支援専門員
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 施設職員
- 医療機関の相談員
- 介護支援専門員
などが関わる場合があります。
ただし、ここは注意が必要です。
本人情報シートの扱いや名称、作成者、提出方法などは、地域や家庭裁判所の案内によって異なる場合があります。
また、本人情報シートを作成できる支援者がいない場合の扱いについても、家庭裁判所に確認する必要があります。
そのため、
「本人情報シートは必ずこの機関が作る」
と断定せず、管轄の家庭裁判所が公開している最新の書式・手引を確認する
と考えておくのが安全です。
医師に診断書を作成してもらう
成年後見制度の申立てでは、医師による診断書も重要な資料になります。
診断書では、本人の精神状態や判断能力について医師の意見を確認します。
そのため、本人の日常生活を支援している人がいる場合は、本人情報シートなどの資料を医師に見てもらうことで、日常生活の状況を伝えやすくなる場合があります。
なお、診断書の作成費用は医療機関によって異なります。
また、家庭裁判所が必要と判断した場合には、鑑定が行われ、別途費用が発生する場合があります。


申立てに必要な書類を準備する
家庭裁判所に提出する書類は、申立ての種類や裁判所によって多少異なります。
一般的には、

- 後見・保佐・補助開始申立書
- 申立事情説明書
- 親族関係図
- 親族の意見書
- 後見人等候補者事情説明書
- 財産目録
- 収支予定表
- 本人の戸籍謄本
- 本人の住民票または戸籍附票
- 後見人等候補者の住民票など
- 登記されていないことの証明書
- 医師の診断書
- 本人情報シートの写し
- 預貯金通帳などの財産資料
- 年金などの収入資料
- 施設利用料などの支出資料
- 不動産に関する資料
- 保険に関する資料
などが必要になります。
地域によっては本人の陳述書など、追加の書類を求められることがあります。
財産資料は早めに整理しておく
親が本人の財産を管理している場合、申立てを考え始めた段階から整理しておくと安心です。
例えば、
預貯金
- 銀行名
- 支店名
- 口座番号
- 残高
- 通帳
保険
- 保険会社
- 保険種類
- 契約者
- 被保険者
- 保険金額
収入
- 障害年金
- 給与・工賃
- 各種手当
- その他の収入
支出
- 家賃
- グループホーム費用
- 食費
- 医療費
- 福祉サービス利用料
- 通信費
- 保険料
などです。
親が管理しているからといって、本人のお金と親のお金を混ぜないことも重要です。
家庭裁判所へ申し立てる
必要書類がそろったら、本人の生活場所を管轄する家庭裁判所へ申し立てます。
ここで重要なのが、
「どこの家庭裁判所に申し立てるのか」
です。
家庭裁判所は全国どこでもよいわけではありません。
本人の住所や現在の生活場所を基準に管轄が決まります。
特に施設やグループホームで暮らしている場合は、申立先を事前に確認しましょう。
家庭裁判所による調査・面接
申立て後、家庭裁判所によって、
- 申立人への確認
- 本人への面接
- 後見人候補者への面接
- 親族への確認
- 家庭裁判所調査官による調査
- 医師による鑑定
などが行われる場合があります。
すべての事件で同じ手続が行われるわけではありません。

成年後見人等が選任される
家庭裁判所が審理したうえで、後見・保佐・補助の開始と、成年後見人等の選任について判断します。
ここで重要なのが、
親が後見人候補者として希望しても、必ず親が選任されるとは限らない
ということです。
本人の財産状況、親族関係、財産管理の複雑さ、利害関係などを考慮して、家庭裁判所が本人にとって適切と判断する人を選任します。
親族ではなく、弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職が選ばれる場合もあります。
選任後は財産管理と家庭裁判所への報告
成年後見人等に選任されたら、本人の財産を管理します。
ここで大切なのは、
本人の財産と後見人自身の財産を明確に分けること
です。
また、家庭裁判所への定期的な報告も必要になります。
「親だから子どものお金を自由に使える」という仕組みではありません。
成年後見制度を利用した後は、本人の利益のために財産を管理する必要があります。
成年後見制度の費用はいくら?
全国共通の費用と、地域によって異なる費用があります。
一般的に、
- 申立手数料
- 登記手数料
- 郵便切手
- 診断書作成費用
- 必要に応じて鑑定費用
などが発生します。
さらに、成年後見人等が選任された後は、家庭裁判所の判断により、後見人等への報酬が発生する場合があります。
東京・大阪・横浜・仙台の費用を比較
今回の記事では、地域差を把握しやすいように4地域を比較します。
| 地域 | 後見開始の郵便切手 | 保佐・補助開始 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 東京 | 4,000円 | 5,000円 | 本庁・立川支部 |
| 大阪 | 4,500円 | 5,500円 | 本庁・堺・岸和田 |
| 横浜 | 4,000円 | 5,000円 | 本庁は面接予約に注意 |
| 仙台 | 4,980円 | 6,480円 | 本庁・支部で管轄 |
※2026年8月時点で確認した情報をもとにしています。郵便切手額などは変更される可能性があるため、実際の申立て時には各家庭裁判所の最新案内を確認してください。
【東京】成年後見の申立先・費用・相談窓口
東京23区・島しょ部
東京23区・島しょ部の場合は、原則として東京家庭裁判所本庁が申立先です。
東京家庭裁判所後見センター
〒100-8956
東京都千代田区霞が関1-1-2
電話:03-3502-5359
一方、23区・島しょ部以外の東京都内では、東京家庭裁判所立川支部が管轄する地域があります。
立川支部
〒190-8589
東京都立川市緑町10-4
電話:
- 042-845-0322
- 042-845-0324
東京の場合は、「東京都だから東京家庭裁判所本庁」と考えず、本人の住所地・生活場所から管轄を確認することが重要です。
東京の基本費用
| 項目 | 後見 | 保佐・補助 |
|---|---|---|
| 申立手数料 | 800円 | 800円 |
| 登記手数料 | 2,600円 | 2,600円 |
| 郵便切手 | 4,000円 | 5,000円 |
| 基本的な合計 | 7,400円 | 8,400円 |
保佐・補助で代理権や同意権を同時に申し立てる場合は、別途申立手数料が加算される場合があります。
東京家庭裁判所では、鑑定が必要となった場合の費用についても別途発生します。
東京の相談先
東京都では、都内すべての人が利用する一つの成年後見相談窓口ではなく、区市町村ごとに成年後見制度の相談・推進機関があります。
障害のある本人の場合は、
- 区市町村の障害福祉担当
- 基幹相談支援センター
- 成年後見制度推進機関
- 社会福祉協議会
などを組み合わせて相談するとよいでしょう。
費用助成についても区市町村によって要件が異なるため、申立て前に確認することが重要です。
【大阪】成年後見の申立先・費用・相談窓口
大阪府では、
- 大阪家庭裁判所本庁
- 堺支部
- 岸和田支部
に分かれます。
大阪家庭裁判所本庁
大阪市中央区大手前4-1-13
電話:06-6943-5872
堺支部
堺市堺区南瓦町2-28
電話:072-223-7001
岸和田支部
岸和田市加守町4-27-2
電話:072-441-2400
大阪で特徴的なのは、申立先を確認する際に本人の現在の生活場所を確認することです。
自宅ではなく、障害者支援施設やグループホーム、病院などで生活している場合は、現在の居所を確認して申立先を判断しましょう。
大阪の費用
| 項目 | 後見 | 保佐・補助 |
|---|---|---|
| 申立手数料 | 800円 | 800円 |
| 登記手数料 | 2,600円 | 2,600円 |
| 郵便切手 | 4,500円 | 5,500円 |
| 基本的な合計 | 7,900円 | 8,900円 |
大阪家庭裁判所では、郵便切手ではなく保管金として納める方法も案内されています。
申立て前に、最新の納付方法を確認しましょう。
大阪ならではの「総合支援型後見監督人」
大阪家庭裁判所では、親族後見人を支援する仕組みとして、総合支援型後見監督人が選任される運用があります。

親が初めて成年後見人になる場合、
- 財産管理
- 家庭裁判所への報告
- 後見事務
などに不安を感じることがあります。
こうした場合に、監督人から指導・助言を受ける仕組みは、大阪で成年後見を検討する親にとって知っておきたいポイントです。
大阪の相談先
大阪市の場合は、
大阪市成年後見支援センター
電話:06-4392-8282
などが相談窓口となります。
堺市では、
堺市権利擁護サポートセンター
電話:072-225-5655
があります。
大阪市・堺市以外では、市町村の成年後見制度中核機関や社会福祉協議会などに相談できます。
【横浜】成年後見の申立先・費用・相談窓口
横浜市内の場合は、原則として横浜家庭裁判所本庁が申立先です。
〒231-8585
横浜市中区寿町1-2
電話:045-345-8001
横浜の費用
| 項目 | 後見 | 保佐・補助 |
|---|---|---|
| 申立手数料 | 800円 | 800円 |
| 登記手数料 | 2,600円 | 2,600円 |
| 郵便切手 | 4,000円 | 5,000円 |
| 基本的な合計 | 7,400円 | 8,400円 |
保佐・補助で代理権・同意権を追加する場合は、申立手数料が加算される場合があります。
横浜は「面接予約」に注意
横浜家庭裁判所本庁では、後見申立てについて、面接を予約してから書類を提出する運用が案内されています。
そのため、仙台などとは手続きの進め方が異なる場合があります。
申立てを考えている場合は、まず横浜家庭裁判所後見受付係に連絡し、最新の受付方法を確認しましょう。
横浜の相談先
横浜市では、
- よこはま成年後見推進センター
- 各区の高齢・障害支援課
- 各区の基幹相談支援センター
- 社会福祉協議会
などが相談先になります。
また、横浜市には障害者後見的支援制度があります。
これは成年後見制度とは別の制度で、障害のある人の生活を見守り、将来の希望や不安を聞きながら必要な支援につなげるものです。

ただし、
- 金銭管理
- 重要書類の管理
- 身体介助
- 医療同意
などを行う制度ではありません。
つまり、
「生活を見守る支援」と「法律・財産管理」は別々に考える
ことが重要です。
費用助成については、横浜市の制度・区ごとの案内や最新条件を申立て前に確認してください。
【仙台】成年後見の申立先・費用・相談窓口
仙台市の場合は、仙台家庭裁判所本庁が申立先になるケースがあります。
仙台家庭裁判所では、地域によって支部の管轄もあります。
そのため、本人の現在の住所・生活場所を確認して、申立先を確認しましょう。
仙台の費用
| 項目 | 後見 | 保佐・補助 |
|---|---|---|
| 申立手数料 | 800円 | 800円 |
| 登記手数料 | 2,600円 | 2,600円 |
| 郵便切手 | 4,980円 | 6,480円 |
| 基本的な合計 | 8,380円 | 9,880円 |
※保佐・補助で代理権・同意権を申し立てる場合は、別途申立手数料が加算される場合があります。
仙台の相談先
仙台市では、
- 仙台市成年後見総合センター
- 障害者基幹相談支援センター
- 区役所の障害福祉担当窓口
- 指定特定相談支援事業者
- 社会福祉協議会
などに相談できます。
成年後見制度そのものだけでなく、
「親亡き後、障害のある本人の生活と財産をどう支えていくか」
という視点で相談すると、必要な制度を整理しやすくなります。
成年後見制度だけで「親亡き後」の問題を解決できる?
ここは非常に重要です。
成年後見制度だけですべてを解決できるわけではありません。

成年後見人等が中心となるのは、
- 財産管理
- 契約
- 支払い
- 相続
- 法律手続
などです。

一方、
- 食事
- 掃除
- 買い物
- 通院介助
- 日常生活の見守り
- 生活上の相談
などは、障害福祉サービスや相談支援などを組み合わせて考える必要があります。
障害福祉サービスと成年後見制度を組み合わせる
例えば、
財産管理
→ 成年後見制度
福祉サービスの利用計画
→ 相談支援専門員・計画相談支援
日常生活
→ 障害福祉サービス
生活全般の相談
→ 基幹相談支援センター
医療
→ 医療機関・訪問看護など
というように役割を分けます。
厚生労働省も、障害者の相談支援について、福祉サービスの利用援助や情報提供、権利擁護などを行う仕組みを整備しています。
「成年後見人を決めれば安心」ではなく、本人を支えるチームを作ることが重要です。
任意後見制度とは?

ここで、成年後見制度を調べている人が一緒に知っておきたいのが、任意後見制度です。
任意後見制度は、本人に十分な判断能力があるうちに、
「将来、自分の判断能力が低下したときには、この人に財産管理や契約などを任せたい」
と、自分で後見人になる人を決めておく制度です。
法定後見制度とはスタートするタイミングが違います。
任意後見と法定後見の違い
| 任意後見 | 法定後見 | |
|---|---|---|
| 契約・開始時期 | 判断能力があるうちに契約 | 判断能力が低下した後に申立て |
| 誰が決める? | 本人 | 家庭裁判所 |
| 後見人 | 本人が選ぶ | 家庭裁判所が選任 |
| 公正証書 | 必要 | 原則として不要 |
| 家庭裁判所 | 任意後見監督人を選任 | 後見・保佐・補助を審判 |
| 本人の意思 | 本人が将来に備えて決める | 判断能力低下後の支援 |
任意後見の大きな特徴は、
本人自身が将来の代理人を選べること
です。
任意後見制度は障害のある人でも利用できる?
利用できる可能性があります。
ただし、重要なのは本人自身に契約を理解して判断する能力がある段階で、本人が任意後見契約を結ぶ必要があることです。
親が、
「子どもに代わって任意後見契約を結んでおこう」
ということはできません。
すでに本人の判断能力が低下しており、任意後見契約を理解して締結することが難しい場合には、法定後見制度を検討することになります。
そのため、障害のある子どもについて任意後見を検討する場合は、
「本人が契約内容を理解できる時期なのか」
を専門家や相談機関に確認することが重要です。
親が元気なうちに準備しておきたい7つのこと
成年後見制度をすぐ利用しない場合でも、親が元気なうちから準備できることがあります。

① 本人名義の財産を一覧化する
- 預貯金
- 保険
- 年金
- 不動産
- 有価証券
- その他の財産
を一覧にします。
② 毎月の収支を整理する
例えば、
収入
- 障害年金
- 工賃
- 給与
- 手当
支出
- 家賃
- グループホーム費
- 食費
- 医療費
- 通信費
などを整理します。
③ 通帳や重要書類の場所を整理する
親しか分からない状態は避けましょう。
- 通帳
- 保険証券
- 年金関係書類
- 障害者手帳
- 契約書
- 不動産関係書類
などを一覧化しておきます。
④ 本人の意思表示の方法を整理する
本人が、
- 言葉で伝える
- 筆談する
- 表情で示す
- 支援者を介して伝える
など、どのように意思を表現するのかを記録します。
これは「本人の意思を尊重した支援」を考えるうえでも重要です。
⑤ 支援者を複数つくる
親だけに支援が集中すると、親が病気になったときに本人も困ってしまいます。
例えば、
- 相談支援専門員
- グループホーム職員
- 基幹相談支援センター
- 医療機関
- 成年後見制度の中核機関
- 親族
など、複数の支援者とつながっておきましょう。
⑥ 成年後見制度が必要になる条件を整理する
「親が亡くなったら成年後見」という単純なものではありません。
本人の判断能力、財産状況、契約の必要性などを踏まえて検討します。
⑦ 本人の将来の希望を確認する
最も大切なのは、
親が決める「親亡き後」ではなく、本人がどのように暮らしたいのか
を考えることです。
どこで暮らしたいのか。
誰と関わりたいのか。
どのような生活を続けたいのか。
お金をどのように使いたいのか。
できるだけ本人の意思を確認しておきましょう。
2026年に成年後見制度が変わる?
ここは2026年の記事では特に注意したいポイントです。
2026年には成年後見制度の見直しに関する改正法が公布されています。
改正の背景には、現在の成年後見制度について、
- 本人の意思をより尊重する必要がある
- 必要な期間だけ制度を利用できるようにする
- 本人の状況が変わった場合に柔軟に対応できるようにする
といった課題があります。
改正法では、現在の後見・保佐・補助の仕組みを見直し、補助を中心とした制度への一元化などを含む方向性が示されています。
ただし、重要なのは、
2026年8月時点ですぐに現行制度がなくなるわけではない
ということです。
改正法の施行には一定の準備期間が設けられており、具体的な施行日や実際の申立て運用については、今後の政令・省令や家庭裁判所などの案内を確認する必要があります。
したがって、現在成年後見制度の利用が必要な人については、
「改正されるから今は申立てできない」
と考えるのではなく、現時点では現行制度に基づいて手続きを進めることになります。
ただし、今後制度が変わる可能性があるため、申立て前には最新情報を確認しましょう。
成年後見制度を利用する前に確認したいこと
成年後見制度は本人を守るための重要な制度ですが、利用すると一定の事務負担も生じます。

例えば、
- 財産管理
- 領収書などの管理
- 家庭裁判所への報告
- 本人の利益を優先した支出
- 後見人等への報酬が発生する可能性
などがあります。
そのため、
「親が年を取ったから、とりあえず成年後見」
ではなく、
本人に現在どのような支援が必要なのか
を整理してから利用を検討することが大切です。
費用助成制度も確認しよう
成年後見制度には、申立費用や後見人等への報酬が発生する場合があります。
そこで、本人の資力など一定の要件を満たす場合には、自治体の成年後見制度利用支援事業による助成を利用できる場合があります。
ただし、ここは全国一律ではありません。
東京
区市町村によって制度・要件が異なります。
大阪
市町村によって対象や申請方法が異なります。
横浜
自治体の制度や対象要件について、申立て前に区役所などで確認する必要があります。
仙台
仙台市にも成年後見制度利用支援に関する制度があります。
特に重要なのが、
「申立て後ではなく、申立て前の相談が必要な場合がある」
ことです。
費用が心配な場合は、申立てをする前に、
「成年後見制度利用支援事業の対象になりますか?」
と自治体に確認しましょう。
成年後見制度の相談はどこにすればいい?
迷った場合は、次の順番で相談すると整理しやすくなります。
① 市区町村の障害福祉担当
まず、本人が利用している障害福祉サービスや生活状況を伝えます。
② 基幹相談支援センター
障害のある本人の生活全体について相談できます。
③ 相談支援専門員
本人の福祉サービスや生活状況を把握している場合、成年後見制度が必要かどうかを考えるうえでも重要な支援者です。
④ 成年後見制度の中核機関
成年後見制度について、
- 利用した方がよいのか
- どのように申し立てるのか
- 後見人候補者
- 専門職
などを相談できます。
⑤ 家庭裁判所
最終的な申立て手続、必要書類、管轄などについて確認します。
公式情報を確認するならここ
成年後見制度は法律・福祉・財産に関わるため、検索記事だけで判断せず、公的機関の最新情報を確認することをおすすめします。
裁判所
成年後見関係の申立書、手続案内、費用、管轄などを確認できます。
裁判所公式サイト
https://www.courts.go.jp/
「成年後見」で検索すると、各家庭裁判所の最新情報を確認できます。
法務省
成年後見制度や任意後見制度の概要、制度改正に関する情報を確認できます。
厚生労働省
障害者相談支援、基幹相談支援センター、成年後見制度利用支援事業など、福祉制度について確認できます。
まとめ|「親が管理する」から「本人を支える仕組み」へ
障害のある子どもの親にとって、成年後見制度は「親亡き後」の財産管理を考えるうえで重要な選択肢の一つです。
ただし、成年後見制度だけで本人の生活すべてを支えることはできません。
大切なのは、
成年後見制度+障害福祉サービス+相談支援+地域の支援機関
を組み合わせることです。
親が元気なうちから、
- 本人の財産を整理する
- 毎月の収支を把握する
- 本人の意思や希望を確認する
- 相談支援専門員などとつながる
- 基幹相談支援センターを知っておく
- 成年後見制度の必要性を検討する
- 任意後見制度が利用できる状態か確認する
といった準備をしておくと、将来の選択肢を増やせます。
そして、成年後見制度を利用する場合は、本人の現在の生活場所を管轄する家庭裁判所の最新案内を確認することが大切です。
東京・大阪・横浜・仙台でも、申立ての基本的な仕組みは共通していますが、郵便切手、受付方法、管轄、相談窓口などには違いがあります。
「親がいなくなったら誰が管理するのか」だけではなく、「本人がどのように暮らしたいのか」を中心に、親が元気なうちから支援の仕組みを作っていくことが大切です。
重要な注意事項
本記事は、2026年8月時点で公表されている公的情報をもとに、成年後見制度の一般的な仕組みを解説したものです。
成年後見制度の申立書類、郵便切手、受付方法、管轄、費用助成の条件などは変更される場合があります。
また、2026年に成年後見制度の改正法が公布されていますが、2026年8月時点では改正後の制度が全面的に施行されているわけではありません。
実際に申立てをする場合は、
- 管轄の家庭裁判所
- 法務省
- 厚生労働省
- 居住する自治体
- 成年後見制度の中核機関
などの最新情報を確認してください。
特に費用助成については自治体ごとに条件や申請時期が異なるため、申立て前に相談することをおすすめします。
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