最近SNSでは、
- 「トイレットペーパーがなくなるかもしれない」
- 「原油価格が上がったら紙製品も値上がりするのでは?」
といった投稿が見られるようになっています。
背景にあるのは、中東情勢の緊張や原油価格の高騰です。
過去には1973年のオイルショックや、2020年の新型コロナ流行時にトイレットペーパーの買い占め騒動が起きたこともあり、「また品薄になるのでは」と不安に感じている人も少なくありません。
では実際に、トイレットペーパーは本当に品薄になる可能性があるのでしょうか。
この記事では、
- 現在のトイレットペーパーの供給状況
- 不足の噂が広がった理由
- 過去の買い占め騒動
- 人が買いだめしてしまう心理
について、公開されているデータや報道をもとにわかりやすく解説します。
トイレットペーパーは品薄になる?【結論】

結論から言うと、現時点でトイレットペーパーが深刻に不足する可能性は低いと考えられています。
トイレットペーパーなど家庭用紙製品メーカーで構成される業界団体「日本家庭紙工業会」は、現在の供給状況について次のように説明しています。
「原材料の調達、製造、供給に問題はなく、安心してほしい」
つまり現在のところ、
- 原材料の不足
- 生産停止
- 流通の大きな混乱
といった問題は確認されておらず、供給体制は安定している状態とされています。
ただし過去の例を見ると、実際に起きる「品薄」の多くは供給不足ではなく、消費者の買い占めによる一時的な在庫不足でした。
トイレットペーパー不足の噂が広がった理由
今回トイレットペーパー不足の噂が広がった背景には、中東情勢の緊張と原油価格の上昇があります。
特に注目されているのが、原油輸送の重要ルートであるホルムズ海峡です。
この海峡は世界の原油輸送の要衝とされ、情勢が緊迫すると原油価格に影響を与える可能性があります。
SNSでは、
- 「原油が高騰すると紙製品も値上がりする」
- 「オイルショックのような状況になるかもしれない」
- 「なくなる前に買っておいた方がいい」
といった投稿が拡散されています。
しかしここで重要なのは、原油価格の上昇が必ずしも商品不足を意味するわけではないという点です。
実際には、原油価格の上昇は次のような流れで影響します。
原油高 → トラック燃料費の上昇 → 物流コスト増 → 商品価格の上昇
つまり、懸念されているのは主に輸送コストの上昇による値上げです。
それがSNSなどで拡散される過程で、
「値上がりするかもしれない」
→ 「今のうちに買うべき」
→ 「そのうちなくなるかもしれない」
という形で、不足への不安に変わってしまうケースも少なくありません。
トイレットペーパーの原材料は国内古紙が中心
トイレットペーパーが不足しにくい理由の一つは、原材料の多くを国内で確保できる点です。
日本家庭紙工業会などの情報によると、日本で生産されるトイレットペーパーの原材料は
約6割が古紙(再生紙)
とされています。

この古紙は、
- 新聞紙
- 雑誌
- コピー用紙
など、国内で回収された紙が主な原料です。
残りはパルプなどですが、中東地域から原材料を輸入しているわけではありません。
そのため、
中東情勢 → トイレットペーパー不足
という直接的な関係は基本的にないとされています。
過去にも起きたトイレットペーパー買い占め騒動
日本ではこれまで、トイレットペーパーを巡る買い占め騒動が何度も起きています。
代表的な例を見てみましょう。
1973年 オイルショック
1973年の第1次オイルショックの際、日本では「紙がなくなる」という噂が広まりました。
原油価格の急騰に加え、政府が紙の節約を呼びかけたこともあり、人々の不安が急速に広がりました。
その結果、スーパーでは長い行列ができ、
トイレットペーパーを大量に購入する人が続出しました。
しかし後に、この騒動は供給不足ではなくパニック買いが原因だったと指摘されています。

2020年 コロナ禍のトイレットペーパー騒動
2020年の新型コロナウイルス流行時にも、トイレットペーパー不足が話題になりました。
SNSでは
「中国からトイレットペーパーが輸入できなくなる」
という情報が拡散されましたが、これは事実ではありませんでした。
それでも不安が広がった結果、多くの人がトイレットペーパーを買いだめし、スーパーの棚から商品が消える事態になりました。
当時、経済産業省も
「トイレットペーパーの在庫や生産は十分にある」
と呼びかけ、冷静な対応を求めていました。
災害時にも起きる一時的な品薄
地震などの災害時にも、トイレットペーパーが一時的に品薄になることがあります。
災害時は食料だけでなく、生活必需品の備蓄を考える人が増えるためです。
なお内閣府の防災ガイドラインでは、災害への備えとして
家庭で日用品や食料を約1か月分備蓄しておくこと
が推奨されています。
ただし、こうした備蓄は「普段から少し多めに買い足していくローリングストック」が推奨されており、一度に大量購入することは推奨されていません。
なぜ人はトイレットペーパーを買いだめしてしまうのか
トイレットペーパーの買い占めは、行動経済学の観点からも説明されています。

代表的な心理が
損失回避(Loss Aversion)
後悔回避(Regret Aversion)
です。
人は、
- 「買わなかったせいで困るかもしれない」
- 「なくなったら後悔するかもしれない」
と感じると、実際には必要以上の量を購入してしまう傾向があります。
さらに社会不安が強い状況ではストレスが高まり、冷静な判断が難しくなるとも言われています。
スーパーの棚からトイレットペーパーが消えると、
「本当に不足しているのでは」
と感じる人が増え、さらに購入が加速するという連鎖が起きます。
つまり、
不安 → 買いだめ → 品薄 → さらに不安
という循環が生まれてしまうのです。
実はトイレットペーパーは不足しにくい商品
トイレットペーパーは、実は比較的供給が安定しやすい商品でもあります。
その理由は、需要が急激に増えにくいからです。
人がトイレに行く回数は、戦争や感染症が起きても大きく変わることはありません。
そのため家庭で消費される量も大きく変動しないのです。

つまり通常は、
- 生産量
- 消費量
のバランスが安定しています。
このため、本来であればトイレットペーパーは急激に不足する可能性が低い商品といえます。
トイレットペーパー不足を防ぐために大切なこと
過去の事例を見ると、トイレットペーパーの品薄の多くは
供給不足ではなく買い占めによって起きています。
そのため、
- 必要以上に買いだめをしない
- 不確かな情報に流されない
- 普段どおりの量を購入する
といった冷静な行動が重要になります。
一人ひとりが普段どおりの購買行動をとれば、トイレットペーパーが店頭から消えるような事態は起きにくくなります。
まとめ
中東情勢の緊張や原油価格の上昇を背景に、SNSではトイレットペーパー不足を心配する声が広がっています。
しかし現時点では、
- 原材料の約6割は国内古紙
- 中東から原材料を輸入しているわけではない
- 業界団体も「供給に問題なし」と説明
とされており、深刻な品薄になる可能性は低いと考えられています。
むしろ過去の事例を見ると、
「不足する」という噂 → 買い占め → 一時的な品薄
という流れが起きてきました。
不安なときほど情報を冷静に確認し、普段どおりの行動を取ることが大切なのかもしれません。












