プルデンシャル生命保険で発覚した大規模な不適切行為を受け、
間原寛(まばら・かん)社長兼CEOが引責辞任することが発表された。
一部報道では「1億円近い退職金が支払われる」と伝えられ、
SNSやコメント欄では「不祥事を起こしたのに高すぎるのではないか」といった
批判や疑問の声も見られる。
では、保険会社の社長に1億円規模の退職金は本当に「高すぎる」のだろうか。
本記事では、報道内容を整理したうえで、
役員退職金の算出方法や業界相場をもとに、
感情論ではなく事実ベースで検証する。

プルデンシャル生命で何が起きたのか
2026年1月、プルデンシャル生命保険は、
社員および元社員100人超が、顧客およそ500人から
金銭を不正に受領していたと発表した。
- 不適切行為の人数:106人
- 被害顧客数:約500人
- 不正受領総額:約31億円
- 未返金額:約22億円
この問題を受け、金融庁は同社に対し報告徴求命令を発出。
経営責任を明確にするため、
間原社長は2026年2月1日付で引責辞任することが決まった。
当初は顧問就任が発表されたものの、
その後の取材で7月末に顧問も辞任予定であることが報じられている。
注目を集める「社長退職金1億円」報道

週刊誌報道などでは、
間原前社長に対し「1億円近い退職金」に加え、
ストックオプションが付与される可能性があると伝えられた。
これに対し、同社OBや一部世論からは、
- 「不祥事の責任を取る立場で高額すぎる」
- 「顧客への返金が終わっていないのに納得できない」
といった批判の声も上がっている。
ただし、同社は退職金の具体額を公表しておらず、
現時点で金額はあくまで報道ベースの情報にとどまっている。
一般社員の退職金が1,000万〜2,000万円規模であることを考えると、
1億円という数字が「高すぎる」と感じられるのは自然な反応とも言える。

そもそも役員退職金はどう決まるのか【一般論】
日本企業における役員退職金は、
一般的に以下の算式をベースに算定されることが多い。
最終月額報酬 × 勤続年数 × 功績倍率
功績倍率の目安
- 一般役員:1.5〜2.0倍
- 社長・CEOクラス:2.5〜3.0倍
これは税務上も広く認められている算定方法で、
同業他社との比較で「過大」と判断されない限り、
損金算入が認められるケースが一般的だ。
図解|社長の退職金はどう決まるのか
基本構造(役員退職金の一般式)
最終月額報酬
×
勤続年数
×
功績倍率
=
役員退職金
図解イメージ
┌─────────────┐
│ 最終月額報酬 │ ← 社長在任時の月給
│ (例:200万円) │
└───────┬─────┘
×
┌─────────────┐
│ 勤続年数 │ ← 役員・社長としての年数
│ (例:20年) │
└───────┬─────┘
×
┌─────────────┐
│ 功績倍率 │ ← 経営実績・責任の重さ
│ (2.5〜3.0倍) │
└───────┬─────┘
=
┌─────────────┐
│ 退職金総額 │
│ 約1億2,000万円 │
└─────────────┘
① 最終月額報酬
- 社長としての最後の月給
- 保険・金融業界では
👉 月100万〜300万円前後が一般的
② 勤続年数
- 社長就任期間+役員在任期間
- グループ企業含めて通算されるケースも多い
③ 功績倍率(最重要ポイント)
- 社長クラス:2.5〜3.0倍
- 業績好調・拡大期:3.0倍寄り
- 不祥事・業績悪化:2.0〜2.5倍に抑制されることも
保険会社社長の退職金相場を検証する

非上場保険会社の目安
- 3,000万円〜1億円超
上場企業社長の場合
- 5,000万円〜2億円程度例も存在
保険・金融業界は、一般社員の退職金水準も高めであり、
社長クラスはさらに別格とされる。
計算例(あくまで仮定)
- 最終月額報酬:200万円
- 勤続年数:20年
- 功績倍率:3.0
→ 約1億2,000万円
このように、
1億円前後という金額自体は、業界相場から大きく外れているとは言い切れない
のが実情だ。
社長の退職金は感情ではなく、
「月給 × 年数 × 倍率」という機械的な計算で決まる。
問題は金額より“説明責任”だった。
引責辞任の場合、功績倍率が通常より抑制されるケースもあり、
仮に2.0〜2.3倍に調整された場合、退職金は6,000万〜8,000万円台に収まる可能性もある。
それでも「高すぎる」と感じられる理由
退職金が問題視される背景には、
金額そのものより「タイミング」と「状況」がある。
- 大規模な不祥事が発覚した直後であること
- 被害顧客への返金が完了していないこと
- 一時的とはいえ顧問就任が予定されていたこと
これらが重なり、
「形式的には妥当でも、感情的には納得しづらい」
という受け止め方につながっていると考えられる。
かんぽ生命不祥事との比較から見えること

2019年に発覚したかんぽ生命の不適切販売問題でも、
社長を含む経営陣は退任した。
- 不適切契約:約18万件
- 業務停止命令・金融庁処分あり
- 社長退職金の具体額は非公表
このケースでも、
退職金の個別金額は明かされておらず、
一般的な役員退職金ルールが適用されたとみられている。
よくある疑問(FAQ)
Q1. プルデンシャル生命の社長退職金はいくら支払われるの?
A. 正確な金額は公表されていません。
週刊誌報道では「1億円近い」と伝えられていますが、同社は退職金の具体額を公式に開示していません。
非上場企業であるプルデンシャル生命では、社長退職金が非公開となるのは一般的で、あくまで業界相場や算定方法からの推定にとどまります。
Q2. 不祥事を起こした社長でも退職金はもらえるの?
A. 日本では「もらえるケース」が多いのが実情です。
役員退職金は功績や勤続年数に基づく報酬の一部と位置づけられており、
刑事責任や重大な背任行為が認定されない限り、
引責辞任であっても全額不支給になるケースは多くありません。
過去の金融・保険業界の不祥事(かんぽ生命など)でも、
社長退職金がゼロになったと公式に確認できる例はほぼありません。
Q3. プルデンシャル生命の社長退職金は「高すぎる」と言える?
A. 業界相場だけ見れば、必ずしも突出して高いとは言えません。
保険・金融業界の社長退職金は、
5,000万円〜1億円超が一般的な範囲とされており、
報道されている金額が事実であっても、
算定上は相場内に収まる可能性があります。
ただし、不祥事直後という状況から、
金額の妥当性より「説明の不足」が批判を招いている点は否定できません。
結論|退職金の是非を分ける本当の論点
プルデンシャル生命の社長退職金を巡る議論は、
「1億円が高いか安いか」という単純な話ではない。
- 業界相場から見れば、1億円規模は特異ではない可能性が高い
- 一方で、不祥事後の説明責任や再発防止策の実効性は
依然として厳しく問われる
信頼回復の鍵を握るのは、
退職金の額そのものよりも、
経営体制の透明性と、組織改革が本当に機能するかどうかだろう。
本件の本質は「退職金の額」ではなく、
不祥事後にそれをどう説明し、どう信頼を回復するかにある。
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