米の価格が高すぎて、「いつになったら安くなるのか」と感じている人は多いでしょう。
実は今、米の流通現場では「損切り」という言葉が現実味を帯びて語られ始めています。
2025年末から2026年前半にかけて、卸や小売が高値で仕入れた在庫を、損を覚悟で売り切る局面に入りつつある、という見方です。
ただし、かつてのように一気に激安へ戻るわけではなく、現実的な水準は
「5キロ4000円前後 → 条件次第で3500円台」
と考えられています。
米価は本当に「損切り」段階に入るのか。私たちの家計にはどう影響するのか。現状を整理します。
※本記事は、家計への影響を知りたい一般消費者向けに、業界情報を噛み砕いて解説しています。

米の「損切り」とは?なぜ今この言葉が使われているのか
ここで言う損切りとは、
米の卸売業者や小売店が、高値で仕入れた在庫を、仕入れ値を下回ってでも売り切ることを指します。

2025年産米は、
- 米不足への警戒
- 集荷競争の激化
- 高値が続くとの見通し
を背景に、例年よりかなり高い価格で取引されました。
しかし、その後に起きたのが消費者の買い控えです。
「高すぎる米」は売れず、倉庫に在庫が積み上がりました。
このままでは、次の2026年産新米が出る前に不良在庫化してしまう。
そこで浮上しているのが、「損をしてでも在庫を減らす」という判断です。
なぜ今、米価は「損切り間近」と言われるのか
理由は大きく2つあります。
① 在庫が過去にない水準まで積み上がっている

卸や集荷業者の間では、
「2025年産米の在庫が想定以上に動かない」
という声が広がっています。
店頭価格は5キロ4300円前後と過去最高水準ですが、
価格に見合わないと判断した消費者が購入を控え、新米の動きが止まったとされています。
② 決算と新米シーズンが迫っている

多くの米業者にとって、3月決算と夏以降の新米入荷は大きな節目です。
在庫を抱えたまま決算を迎えれば、損失が確定します。
そのため、年明け以降は
「利益を出すより、まず在庫を減らす」
方向に動く業者が増えると見られています。
米価高騰はなぜ起きたのか
今回の高騰は、単なる一時的な値上がりではありません。

- 猛暑などによる収量減
- 肥料・燃料費の高騰
- 令和の米騒動による需給不安
- 集荷業者同士の買い取り競争
これらが重なり、2024年から2025年にかけて、
米は**「高値前提」で取引される流れ**が定着しました。
結果、小売価格は
5キロ4200〜4700円
という、家計にとって重い水準まで上昇したのです。
損切りが始まると、米の価格はどうなる?
損切りが本格化した場合、価格は段階的に下がると考えられます。
- 2026年初頭:
5キロ4500円前後 → 4000円前後 - 在庫圧縮が進まない場合:
3500〜4000円程度まで値下げ
特売や無名銘柄、ブレンド米から先に価格調整が進み、
人気銘柄は下がりにくい、という形になる可能性が高いでしょう。
「5キロ3500円」は本当に来るのか?いつ起きる可能性がある?

業界関係者の見方では、
- 2026年6〜7月ごろ
- 在庫が残っている地域・業者
といった条件が重なれば、
5キロ3500円前後の商品が出る可能性は十分あるとされています。
実際、すでに一部の米専門店では、
有名銘柄を5キロ3500円を下回る価格で販売した例も出始めています。
ただし、全国一律でその価格になるわけではなく、
あくまで「条件付き」「限定的」と考えるのが現実的です。
消費者・農家・業者はそれぞれどうなる?

消費者
- 2026年前半以降、4000円を切る商品が増える可能性
- うまく選べば3500円台も視野
- ただし「米だけが劇的に安くなる」わけではない
農家
- 買取価格が下がれば収益は圧迫される
- 再生産コストを割る水準になると、離農リスクが高まる
- 将来の供給不安につながる懸念も
卸・小売
- 在庫を抱えるほど赤字が膨らむ構造
- 損切りと価格維持の難しい判断を迫られる
- 2026年夏までが大きな分岐点
よくある質問(FAQ)
Q1. 米の価格はいつ頃から下がり始めますか?
A. 早ければ2026年初めから、卸や小売が在庫を処分する動きが出て、店頭価格が少しずつ下がると見られています。本格的な調整は2026年前半が目安です。
Q2. 本当に5キロ3500円で買えるようになりますか?
A. 条件がそろえば、一部の商品では3500円台が出る可能性があります。ただし全国一律でその価格になる可能性は低く、銘柄や販売時期による差が大きくなりそうです。
Q3. 米が安くなるまで買うのを待ったほうがいいですか?
A. 家庭での消費分については、無理に買い控える必要はありません。急激な値下がりは起きにくいため、必要な分を少量ずつ購入するのが現実的です。
Q4. 米が安くなりすぎると何が問題ですか?
A. 生産者の収入が減り、離農が進むと、数年後に米不足や再度の価格高騰を招くリスクがあります。短期的な安さだけでなく、持続性も重要です。
Q5. 今後、米の価格が再び高騰する可能性はありますか?
A. 天候不順や生産コストの上昇が重なれば、再び高騰する可能性はあります。そのため、極端な安値が長期間続くとは考えにくい状況です。
まとめ:米は安くなるのか、どう向き合うべきか
現時点では、米価は
高騰のピークを越え、「調整=損切り」局面に入りつつある
と見るのが自然です。
- ベースは5キロ4000円前後
- 条件が揃えば3500円台もあり得る
一方で、安さだけを追いすぎれば、
農家の経営悪化 → 将来の米不足 → 再度の高騰
という悪循環を招く可能性もあります。
これからは、
という意識が、私たち消費者にも求められる局面に入ったと言えるでしょう。












