社会人の多くが加入している健康保険。2021年以降はマイナンバーカードが健康保険証としても利用できる「マイナ保険証」が普及し、医療機関での手続きもスムーズになりました。
しかし、退職や転職などで保険の資格が切り替わるとき、「マイナ保険証はそのまま使えるの?」と不安に思う人も多いでしょう。
この記事では、退職・転職時のマイナ保険証の取り扱いから、空白期間を防ぐ「資格確認書」の活用方法まで詳しく解説します。
退職したらマイナ保険証はいつまで使える?
結論から言えば、退職したその日までは使えますが、翌日からは自動的に無効になります。
マイナ保険証は本人確認に使えるカードではありますが、保険証としての有効性は「健康保険の資格」によって支えられているためです。
「退職日翌日」から社会保険の資格は自動的に喪失

会社を退職すると、健康保険組合や協会けんぽへの加入資格も「退職日の翌日」で失効します。
この「資格喪失情報」は、会社を通じて健保組合→国のシステムに連携されます。
したがって、退職翌日からは医療機関で保険が適用されず、マイナ保険証を提示しても資格が確認できない状態になります。
「退職日当日までは有効」「翌日からは失効」
多くの人が混同しやすいのが、「手元にマイナ保険証が残っている=使える」と思い込んでしまうことです。
カード自体は有効でも、保険情報の裏側が無効化されるため、医療機関のシステムからは「資格未確認」と表示され、10割負担(全額自己負担)扱いになる可能性があります。
退職〜転職までの「空白期間」に注意

多くの人が経験するのが、「退職してから次の職場に入るまでの数日〜数週間の空白期間」です。ここで起きるのが「保険証がない期間」。
新しい保険証(またはマイナ保険証の新情報)が有効になるまで平均3〜10日かかります。
その間、マイナ保険証も旧会社の情報が残ったままで使用できません。もしこの時期に病院へ行く場合、「資格確認書」を使うのが安全です。
空白期間の具体例
| 状況 | 保険状態 | 対応策 |
|---|---|---|
| 退職して国保に切り替える前 | 無保険状態 | 資格確認書を申請 |
| 転職先の保険がまだ届かない | 資格登録待ち | 資格確認書 or 一時全額負担後に還付 |
| マイナ保険証登録が旧会社のまま | 情報未更新 | マイナポータルで再設定 |
空白期間を埋める「資格確認書」の使い方
退職から次の保険加入までの“保険の空白”を埋めてくれるのが、「資格確認書」です。
これは一時的に健康保険証と同じ効力を持つ証明書で、全国の医療機関で利用できます。
国民健康保険(国保)に切り替える場合、市区町村の窓口で申請すれば即日発行されるため、無保険期間を防ぐことが可能です。転職先の保険証が届くまでの“つなぎ”としても非常に便利です。

申請手順
- 市区町村の国保窓口へ行く
- 離職票または退職証明書、マイナンバーカードを提出
- 原則その場で発行(自治体によっては郵送対応も可能)
資格確認書をもらえば、マイナ保険証の代わりに病院や薬局で保険診療を受けられます。
発行手数料は無料です。
転職後の再登録とマイナ保険証の再設定
転職して新しい会社に入社すると、会社が健康保険組合への資格取得手続きを行います。
このとき、新しい「保険者情報」が政府のデータベースへ送られ、マイナ保険証にも反映されます。
ただし、反映までには数日かかることがあり、その間は旧情報が残っています。
確実に利用可能にするには、マイナポータルで「健康保険証利用登録」を再設定しましょう。
再設定手順

- マイナポータルにログイン
- メニューから「健康保険証利用登録」を選択
- 新しい保険者情報を確認し、登録完了
反映まで時間差があるため、転職初日は資格確認書を手元に置いておくと安心です。
国保・社保切り替えのタイミングと注意点

健康保険の切り替えは、退職・転職パターンによって手続き先や期限が異なります。うっかり申請が遅れると、無保険期間が発生する可能性があるため注意が必要です。
| 切り替えパターン | 対応窓口 | 申請期限 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 社保 → 国保 | 市区町村役場 | 退職日翌日から14日以内 | 離職票を持参 |
| 社保 → 社保(転職) | 新会社が自動手続き | 入社後即日 | 資格反映までに空白あり |
| 国保 → 社保 | 会社経由で自動 | 入社後すぐ | 国保の脱退申請が必要 |
よくある質問
まとめ:退職・転職時は「空白期間ゼロ」対策がカギ
退職した翌日から、社会保険の資格は自動的に失効します。マイナ保険証そのものは有効でも、保険資格が切れていれば医療機関では使えません。
転職や再就職の際には、新しい保険証が届くまでの空白期間を「資格確認書」でしっかり埋めることが大切です。
マイナポータルでの資格再設定も忘れずに行えば、スムーズに新しい保険情報が反映され、医療アクセスを確保できます。「退職」「転職」といったライフイベントの中でも、安心して医療を受けられる体制を整えておきましょう。
🔗 参考リンク・公式情報
退職・転職時のマイナ保険証や資格確認書に関する最新情報は、以下の公式サイトでも確認できます。
- 🏛 厚生労働省|資格確認書について
→ マイナ保険証が使えないときの手続きや発行方法の解説。 - 💳 マイナポータル|マイナ保険証のよくある質問
→ 保険情報の反映タイミングや再設定方法など。 - 🏢 厚生労働省|健康保険証のオンライン資格確認
→ 医療機関での利用仕組みやマイナ保険証の基本情報。 - 📱 デジタル庁|マイナンバー制度
→ 制度全体の概要とマイナカード活用の最新情報。
※本記事の内容は2025年10月時点の情報をもとに作成しています。制度変更や運用更新の可能性があるため、最新情報は各公式サイトをご確認ください。
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