2025年の医療制度見直しで「70歳以上の外来特例が変更される」というニュースが話題になっています。
とくに、
- 年金生活の高齢者の負担は増えるのか?
- 外来の自己負担上限がどう変わるのか?
- いつから変わるのか?
このあたりに不安や関心を持つ人が多く、制度の見直しは高齢者にとって大きな影響があります。
月1万8,000円が2万円に…たった2,000円でも年額では24,000円の負担増になります。
この記事では、厚労省の審議状況・報道内容にもとづき、現行制度 → 変更点(案) → 影響 → スケジュールをわかりやすく解説します。

1. 高額療養費制度とは(70歳以上の基礎)
高額療養費制度とは、1か月の医療費が一定額を超えた場合に、その超過分が払い戻される仕組みです。
70歳以上の外来には「外来特例」と呼ばれる優遇措置があり、現行では次のとおりです。

【現行】70歳以上の外来負担の自己負担上限(月額)
| 世帯区分 | 現行の外来上限 |
|---|---|
| 年収約383万円未満 | 1万8,000円 |
| 住民税非課税世帯 | 8,000円 |
| 現役並み所得(給与約720万円〜) | 対象外(若年と同じ) |
2. なぜ見直されるのか(今回のニュースの背景)
2025年11月、厚労省の専門委員会で「外来特例の見直しが必要」との意見がほぼ一致しました。
背景は次のとおりです。
✔ 批判の核心
上限に達するとその月は追加負担がゼロになるため、通院し放題になる仕組みになっている。
これにより、
- 医療費の膨張
- 医療資源の公平性の問題
- 現役世代との負担バランス
に対する懸念が高まっていました。
✔ 対象者は600万人以上
厚労省の試算では、外来特例の対象になる高齢者は年間600万人。
制度を廃止すれば、
- 医療給付費 約3,400億円削減
- 国民全体の保険料の軽減につながる
という試算も示されています。
3. 見直し案(検討中)|70歳以上の負担はどう変わる?
委員会では「廃止」案も出ましたが、最終的には、
➡ 外来特例は維持しつつ、上限額を引き上げる方向
で検討が進んでいます。

【見直し案】自己負担上限の例(検討段階)
※政府最終決定前の案です。
これは正式決定ではなく、審議会資料をもとにした検討段階の水準です。
| 世帯区分 | 現行 | 見直し案(例) |
|---|---|---|
| 年収約383万円未満 | 1万8,000円 | 1万8,000円 → 約2万円前後に引き上げ案 |
| 年金収入 約200万円以下(単身) | 同上 | 1万8,000円 → 約2万円案 |
| 住民税非課税世帯 | 8,000円 | 9,000円程度に引き上げ案 |
| 現役並み所得 | 変わらず | 変わらず |
大きな方向性としては、
- 高齢者優遇をやや縮小
- ただし「急激な負担増」は避ける
- 低所得層(非課税)は引き続き手厚く保護
となっています。
4. 年金受給者にはどう影響する?

✔ 年金受給者の大半は「一般区分」「住民税非課税」に該当
そのため影響が出る可能性があります。
想定される変化(案)
- 年金収入100〜200万円の高齢者
→ 月1万8,000円 → 約2万円に上昇 - 住民税非課税の高齢者
→ 月8,000円 → 9,000円前後に上昇
ただし、
✔ 一気に大幅引き上げではなく段階的
という方針が示されており、急に負担が跳ね上がるわけではありません。
✅ ケーススタディ(例)|あなたの状況ではどう変わる?
以下は、70歳以上の方によくある3つのケースをもとに、今回の見直し案による影響をシミュレーションした例です。
※政府の最終決定前の案ベースで記載しています。
ケース1:年金収入150万円・単身(一般区分)

- 年金月額:約12〜13万円
- 住民税:課税
- 区分:一般(年収383万円未満)
現行の外来自己負担上限(1か月)
➡ 1万8,000円
見直し案(例)
➡ 約2万円前後に引き上げ
変化
- 月:+2,000円
- 年間(上限に達する月が6回の場合):+12,000円
コメント
通院頻度が月2〜4回の人は、上限に到達しやすいため影響を受けやすい層。
ただし急激な引き上げではないため、生活への直撃度は中程度。
ケース2:夫婦2人暮らし(世帯年金収入 250万円、一般区分)

- 年金月額:夫婦合計 20〜22万円
- 区分:一般(383万円未満)
現行
➡ 1万8,000円(外来:個人ではなく「世帯」で管理しない点がポイント)
見直し案(例)
➡ 約2万円前後
変化
- 月:+2,000円
- 年間で6〜10回上限に達する世帯:+12,000〜20,000円
コメント
夫婦どちらかが複数の持病で通院しているケースでは、年間の影響がやや大きくなる可能性。
ケース3:住民税非課税世帯(単身・年金収入80万円)

- 年金月額:約6〜7万円
- 区分:住民税非課税
現行の外来負担上限
➡ 8,000円
見直し案(例)
➡ 約9,000円前後
変化
- 月:+1,000円
- 年間6回上限に達すると:+6,000円
コメント
非課税世帯は特に守られる設計のため負担増は最小限。
引き続き最も手厚い保護が適用される層。
ケース4:現役並み所得(給与収入720万円相当)※70歳以上でも該当

- 区分:現役並み所得
現行/見直し後ともに変更なし
➡ 外来特例の対象外
➡ 若い世代と同じ上限(例:外来は個人7,320円+世帯合算上限)
コメント
今回の見直しの影響はほぼなし。
現役世代と同じ負担の維持。
6. 今後のスケジュール
2025年11月21日
専門委員会 → 見直し必要でほぼ一致

2025年12月
政府が最終方針を決定(予定)

2026〜2027年度
段階的に制度スタート(見込み)

今後の発表次第で細かい数値は固まります。
7. よくある質問(FAQ)
8. まとめ|70歳以上は上限引き上げ方向。大幅変更は避けられる見込み
2025年の見直しは、
- 外来特例は維持
- ただし、自己負担上限は引き上げ方向
- 年金生活者も少額の負担増が見込まれる
- 非課税世帯には引き続き配慮
という流れになっています。
政府が12月に最終方針を示すため、今後も最新情報を反映して更新していきます。
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