①墓じまいは「何から始めるか」が分かれば安心して進められる

墓じまいは、
- 寺院への挨拶や手続き
- 親族の合意
- 行政書類の準備
- 費用の見積もり
など、普段馴染みのないステップが多く、最初はどう進めればよいか戸惑う人が大半です。
「失礼にならないようにしたい…」
「必要な書類が分からない…」
「費用がどれくらいかかるの?」
こうした不安を抱えるのは当然のことです。
ただ、流れさえ理解すれば、墓じまいは想像よりもシンプルです。
この記事では、
- 墓じまいの進め方(6ステップ)
- 費用の相場と内訳
- トラブル回避のポイント
- 実際に起こりやすいケース例
を、初めての方でもスムーズに理解できるように丁寧にまとめました。
②墓じまいの流れは「6ステップ」/費用は「30〜100万円」が一般的
はじめに、墓じまいの全体像だけ押さえておきましょう。
■ 墓じまいの流れ(6ステップ)
- 親族と相談して合意形成
- 寺院・墓地管理者に連絡(離檀料などの確認)
- 新しい納骨先(永代供養墓など)を決める
- 市役所で「改葬許可申請」
- 石材店へ工事を依頼
- 墓石撤去 → 遺骨取り出し → 移送

■ 費用の総額
一般的には 30〜100万円 程度。
墓石の大きさ・撤去しやすさ・寺院の慣習などで幅があります。
③ 墓じまいとは?社会背景と基本の理解
■ 墓じまいとは
現在ある墓を撤去し、遺骨を別の納骨先へ移すこと。
「改葬」という行政手続きを伴います。

■ 増えている理由
- 墓守を担う人がいない
- 維持費の負担
- 遠方で管理が難しい
- 家族構成の変化(少子化・単身世帯)
現実的な選択肢として墓じまいを検討する家庭が増えています。
■ 墓じまいと改葬の違い
- 墓じまい … 墓を撤去すること
- 改葬 … 遺骨を別の場所へ移す行政手続き
両者がセットで行われることが多く、手順を正確に踏むことが大切です。
④ 墓じまいの手続き|6ステップを丁寧に解説
親族と相談し、合意形成する
墓じまいで最も多いトラブルは家族間の認識違い。

- 「勝手に決めた」と不満が出る
- 思いが対立して話し合いが難しくなる
【解決のコツ】
- 先に“なぜ必要か”を丁寧に共有する
- 新しい供養先のメリット(管理不要・永代供養)を説明
- 反対意見を一度聞く姿勢が大切
寺院・管理者に相談する
墓じまいでは寺院・霊園との連携が欠かせません。
この時点で確認すること:
- 離檀料
- 工事日の調整
- 閉眼供養の日時
- 必要な書類(署名・捺印)
離檀料は「気持ち」であり、金額の決まりはない点も押さえましょう。
お寺との対話でよくある誤解【筆者の視点】
お寺とのやり取りで多い誤解のひとつは「離檀料は必ず払うもの」という認識です。
実際には法的義務ではなく、感謝の気持ちを示す慣習的な支払いに過ぎません。
高額を請求されるケースを恐れて連絡を先延ばしにする方がいますが、誠実に経緯を説明すれば円満に解決することがほとんどです。
ポイントは「対立ではなく感謝を伝える」こと。
最初にこちらの事情(管理困難、跡継ぎ不在など)を正直に伝え、可能なら文書で要点をまとめておくと誤解が生じにくくなります。
遺骨の移し先を決める(永代供養など)
選択肢は複数あります。
- 永代供養墓(管理不要で人気)
- 納骨堂
- 樹木葬
- 合葬墓(費用を抑えたい場合に有効)
- 自分の家の近くの墓地へ改葬
決めた場所から「受入証明書」を取得します。

市役所で「改葬許可申請」
必要書類は以下の通りです。
- 改葬許可申請書
- 受入証明書
- 現墓地管理者の埋葬証明
自治体によってフォーマットが異なるため、先に市役所へ確認するとスムーズです。

石材店へ見積もり依頼
石材店によって費用が大きく異なるため、最低2社から見積もりを取ると安心です。

比較すべきポイント
- 坪単価
- 重機代の有無
- 墓石の大きさによる追加料金
- 更地戻しの内容
石材店が見積もりで隠しがちな項目【筆者の視点】
石材店の見積もりでよく後から追加請求される代表的な項目は次の通りです。
- 残土処分費(掘削で出る土の処理)
- クレーン作業費/重機レンタル費(大型墓石の撤去時)
- 運搬費(遠方の処分場へ運ぶ場合)
- コンクリート基礎の解体・復旧費
見積もりを取る時は必ず「総額」で見せてもらい、内訳を明文化して受領しましょう。「見積有効期限」を書いてもらうと価格トラブルを避けやすいです。
墓石撤去 → 閉眼供養 → 遺骨の運搬

◆撤去の流れ
- 閉眼供養(読経)
- 墓石撤去工事
- 遺骨の取り出し
- 新しい納骨先へ移送
- 墓地を更地に戻して返還
これで墓じまいは完了です。
⑤ 墓じまいの費用相場|内訳を具体的に解説
■ 費用の内訳
| 項目 | 相場の目安 |
| 墓石撤去 | 10〜30万円/1㎡ |
| 離檀料 | 1〜20万円 |
| 改葬許可関連の費用 | 数千円〜1万円程度 |
| 新しい納骨先費用 | 5〜50万円(永代供養など) |
■ 総額の目安
30〜100万円
※広さ・寺院の慣習・工事内容で上下します。
■ 費用を抑えるコツ
- 相見積もりで 20〜40%下がることもある
- 合葬墓を選べば 5〜10万円程度で済む
- 離檀料は法的義務ではなく、交渉できる
⑥ トラブルを避けるための重要ポイント
■ 1. 離檀料トラブル
■ 2. 改葬許可の取り忘れ

■ 3. 業者の追加請求
見積書の「細かい項目」をチェックしておくことが大切。
■ 4. 親族の反対
読者に必ず押さえておいてほしい2つのポイント【筆者の視点】

- 合意形成を最優先に — 親族との不一致は後から取り返しがつかない問題になります。意思決定の際は時間をかけ、記録(メールや議事メモ)を残しておきましょう。
- 見積は“総額”で比較する — 部分的な低価格に飛びつくと、追加費用で逆に高くつくことが多いです。見積書の項目をチェックリスト化して比較してください。
⑦ ケース別の例(実際によくある状況)
● 遠方で管理が難しくなったケース

年1回の帰省・墓掃除で負担が増大。
永代供養へ移すことで維持費がゼロに。
● 継承者が不在
子どもがいない・海外居住など。
管理不要の納骨堂を選択して解決。

● 離檀料で揉めたケース
寺院から「30万円以上」と提示された例も。
話し合いで「10万円」に落ち着いたケースが多数。
● 相見積もりで費用大幅削減

1社目:70万円
2社目:42万円
→ 比較だけで28万円削減した事例は珍しくありません。
⑧ チェックリスト
- ✅親族の合意は取れた?
- ✅寺院への連絡は済んだ?
- ✅新しい納骨先は決定している?
- ✅受入証明書は取得済み?
- ✅改葬許可証を受け取った?
- ✅石材店は複数社から見積もった?
- ✅閉眼供養の日程は確定?
⑨ 引用・参考文献一覧
本記事は、墓じまいに関する法的根拠である「墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)」の手続きに基づいて構成しています。特に、遺骨の改葬許可申請や墓地管理に関する規定について最新の法律内容を反映し、正確性を担保しています。
- 一般社団法人墓じまい協会「墓じまいの基本心得」
https://hakajimai-kyoukai.org/%E5%A2%93%E3%81%98%E3%81%BE%E3%81%84%E3%81%AE%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E5%BF%83%E5%BE%97/- 終活協議会「墓じまいが増える理由」
https://shukatsu-kyougikai.com/news/3886/- 行政書士おはか事務所「墓じまいの増加と背景」
https://ohaka-gyousei.com/hakajimai/hakajimai-zouka.html- 終活協議会コラム「墓じまいの実態とタイミング」
https://shukatsu-kyougikai.com/column/hakajimai-research-report-timing-guide/- 春田法律事務所「墓じまい・改葬の進め方」
https://haruta-lo.com/column/tomb-3/- 葬儀のトイガー「墓じまい費用と石材店の選び方」
https://sougi.toyger.co.jp/hakajimai/
よくある質問(FAQ)
【まとめ】
墓じまいは、
「親族の合意 → 寺院相談 → 新しい納骨先の確保 → 改葬許可 → 工事」
という流れを押さえれば、スムーズに進められます。
費用は30〜100万円前後で、
適切な見積もりと丁寧な手続きがあればトラブルは最小限にできます。
この記事の流れに沿って準備すれば、墓じまいの全体像を確実につかめるはずです。












