マイナンバーカード(マイナカード)の「廃止枚数」が約93万枚に達していたことが話題になっています。
「そんなに廃止されているの?」
「マイナカード離れが進んでいる?」
「制度そのものが危ないのでは?」
と不安に感じた人もいるかもしれません。
しかし、実際の数字を整理すると、“制度終了レベルの大量返納”とは言い切れない状況も見えてきます。
この記事では、
- 93万枚廃止の意味
- 自主返納はどれくらいあるのか
- 保有枚数との比較
- マイナポイントによる普及状況
を、会計検査院資料や報道内容をもとに整理します。
マイナカード「93万枚廃止」とは?
会計検査院が公表した「マイナポイント事業に関する会計検査の結果」によると、2025年7月時点で、「本人希望・その他」に分類されたマイナンバーカードの廃止枚数は93万5116枚となっていました。
ここで注意したいのは、
「93万枚すべてが自主返納ではない」
という点です。

この数字には、
- 自主返納
- 有効期限切れ
- 紛失による再発行
- 転居による券面余白不足
- その他再発行関連
なども含まれています。
そのため、「93万人が制度に反対して返納した」という意味ではありません。
「93万枚廃止」は多いのか?割合で見ると…
では、93万枚という数字は実際どれくらい多いのでしょうか。
総務省によると、2026年4月末時点のマイナンバーカード保有枚数は約1億304万枚となっています。
これを基準にすると、

- 廃止枚数:約93万枚
- 保有枚数:約1億304万枚
となり、割合は約0.9%程度です。
もちろん、90万枚超という数字自体は小さくありません。
ただし、全体の普及規模から見ると、“制度崩壊レベルの大量返納”という状況ではないことも分かります。
自主返納はどれくらいある?
会計検査院の資料では、「本人希望・その他」のうち、どれくらいが自主返納なのかについて抽出調査も行われています。
調査では、

- 247件中97件
- 約39.3%
が自主返納に該当していました。
この割合を93万件全体に単純換算すると、
自主返納は約36万件規模
と推定されます。
ただし、これはあくまで抽出調査をもとにした推計値であり、正式な自主返納総数ではありません。
なぜ自主返納する人がいるのか
総務省は自主返納理由の詳細を公表していません。
一方で、報道や調査では、以下のような理由が挙げられています。

セキュリティへの不安
マイナ保険証の誤登録問題や情報紐付けミスなどの報道を受け、
- 個人情報流出への不安
- システム管理への不信感
を抱く人もいました。
制度への不信感
政府説明への不満や、
- 「本当に安全なのか」
- 「情報管理は大丈夫か」
といった不安から返納するケースもあるとみられています。
利便性を感じにくい
行政手続きのオンライン化は進んでいるものの、
- 日常で使う場面が少ない
- 必要性を感じにくい
と考える人も一定数存在します。
更新や再発行の手間
有効期限更新や暗証番号関連など、
- 手続きが分かりにくい
- 面倒に感じる
という声もあります。
一方で、マイナポイント事業で普及は急拡大した
マイナンバーカード発行枚数│2024年6月時点(総務省発表)
- 累計交付枚数:約1億3,000万枚
これは、総務省が2024年6月に公表した 「マイナンバーカード交付状況」データに基づく数字です。
■ 年度別の推移(総務省データ)
マイナンバーカード発行枚数の推移(累計)
| 年度 | 発行枚数(累計) |
|---|---|
| 2020年 | 約2,000万枚 |
| 2021年 | 約4,000万枚 |
| 2022年 | 約7,000万枚 |
| 2023年2月 | 1億枚突破 |
| 2024年6月 | 約1億3,000万枚 |
廃止枚数が注目される一方で、マイナカード自体は大きく普及しています。
会計検査院の報告で分かったこと
会計検査院によると、マイナポイント事業の実施後、

- カード申請件数は約6769万件増加
- マイナ保険証登録は約6170万件増加
- 公金受取口座登録は約6097万件増加
となりました。
また、ポイント利用額は1兆円超に達し、経済効果は約2.4兆円と試算されています。
マイナポイント事業は、カード普及を大きく後押ししたといえそうです。
「マイナカード廃止」は制度終了ではない
SNSなどでは、
- 「マイナカード廃止」
- 「2026年で終了」
といった情報が拡散されることがあります。
しかし、これは誤解です。
現在進められているのは、
- 有効期限による更新
- 次期カードへの段階的切り替え
であり、マイナンバー制度そのものが廃止されるわけではありません。
また、カード更新後も12桁のマイナンバー自体は継続利用されます。
今後の課題は「信頼回復」と「利便性」
マイナカード普及は進んでいる一方で、

- 情報管理への不安
- システムトラブル
- 制度理解不足
などの課題も残っています。
今後は、
- セキュリティ対策の強化
- 誤登録防止
- 分かりやすい制度説明
- 利便性向上
などが重要になりそうです。
特に、「安心して使える」と感じてもらえるかどうかが、今後の普及拡大のカギになるでしょう。
まとめ
マイナカードの「93万枚廃止」が話題になっていますが、数字を整理すると見え方も変わります。
- 廃止枚数は約93万件
- 保有枚数約1億枚に対して約0.9%程度
- 自主返納は推定約36万件規模
- 一方でマイナポイント事業により普及は大きく進んだ
つまり、
「一定の不安や不信感は存在するが、制度全体が大きく後退している状況とは言い切れない」
というのが現状に近そうです。
今後は、制度への信頼性向上と利便性改善が重要なテーマになっていきそうです。












